経営セーフティ共済を途中解約した場合どうなる?|難波の税理士【山本たかし会計事務所】クラウド会計・相談無料

2025/12/24会計業務

経営セーフティ共済を途中解約した場合どうなる?

企業経営において、万一の倒産リスクに備えるための制度として経営セーフティ共済があります。
中小企業や個人事業主にとって安心の制度になっていますが、途中解約した場合はどうなるのでしょうか。

この記事では、途中解約した場合の取り扱いと注意すべきポイント、対策などを詳しく解説しています。

経営セーフティ共済とは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、
取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。

中小企業基盤整備機構が運営しています。
メリットは4つ挙げることができます。

①無担保・無保証人で借入れできる

借入れは無担保・無保証人で受けられます。
共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」または「掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない方の金額です。

②取引先倒産後、借入れできる

取引先の事業者が倒産し、売掛金など債権の回収が困難になった場合には、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れることができます。

③掛金は経費・損金になる

掛金月額は5,000円から20万円まで自由に選ぶことができ、増額・減額もできます。
また、掛金は法人税法上の損金、所得税法上の必要経費に算入することができるため、税負担の軽減がのぞめます。
ただし、令和6年10月1日以降に共済契約を解約し、再加入する場合、その解約の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金については算入できませんので注意しましょう。

④解約手当金が受け取れる

共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取ることができます。
自己都合の解約の場合については次で詳しく解説します。

共済掛金を自己都合で途中解約した場合

共済掛金を自己都合で途中解約した場合
共済掛金を自己都合で解約した場合の解約手当金は、いつ解約したかによって受け取れる額は異なります。

加入から1年未満で解約

1年未満で解約した場合、解約手当金はゼロで、全額掛け捨てとなります。

1年以上40か月未満で解約

1年以上40か月未満で解約した場合、掛金の80%~95%が返戻されます。
加入期間が長いほど、返戻率が高くなりますが満額ではありません。

40か月以上で解約

40か月以上の掛金納付をしていれば、掛金の全額が返戻されます。
40か月以上で元本割れリスクがなくなります。

経営セーフティ共済の途中解約のリスクと注意点

経営セーフティ共済は、加入から40か月(3年と4カ月)の間は元本割れリスクにさらされるため、経営者にとって加入をためらう要因となっているといえそうです。

経営セーフティ共済は、倒産を防止するという趣旨から事業を継続する意思がある企業を対象としています。
短期的な利用を防ぐ意味で、40か月が一定の基準であるといえるでしょう。

元本割れになるほか、途中解約のリスクとしては節税効果が限定的になってしまうことが考えられます。
掛金は損金算入、経費計上できる一方、受け取った解約手当金は益金算入、収入計上する必要があります。
その時の経営状況によっては、掛金の節税メリットよりも課税負担が大きくなる場合があるでしょう。

経営セーフティ共済の加入を検討する際に考えたい対策

以上のようなリスクを踏まえ、経営セーフティ共済の加入を検討する際に考えたい対策をまとめました。

掛金の検討

40か月の加入期間が大きな分岐点となります。
事業のスタート段階では、見通しが立てにくいため、最低掛金で加入し、ひとまず加入月数40か月を目安にしながら事業を安定させることも有効です。
事業が安定したら掛金を増額することもできます。
ただし、制度変更リスクもあるため、常に最新の情報を確認しておきましょう。

資金繰りを勘案

掛金の支払い、解約手当金の受取りを資金繰り計画に組み入れましょう。

節税効果が大きくなるタイミングは重要ですが、事業経営上、資金繰りが最重要です。
掛金増額のタイミングを検討するうえでも資金繰りを勘案して検討しましょう。

税務上の影響

解約手当金を受け取るタイミングを経営計画にも組み入れておきましょう。
前述のとおり、解約手当金は益金算入・収入計上が必要となるため、課税の対象になります。

経営状況を踏まえ、法人税や所得税への影響を事前に試算しておきましょう。
出口戦略も必須です。

まとめ

経営セーフティ共済の途中解約について解説しました。
倒産リスクに備えつつ、節税効果も期待できる制度ですが、途中解約には注意すべきポイントがあります。
加入する際は、事業計画と資金繰り、税務面などを総合的に考慮して検討しましょう。

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この記事の監修者

山本たかし会計事務所代表:(税理士)山本卓志

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税理士

山本 卓志
Yamamoto Takashi

昭和50年兵庫県生まれ。
大学卒業後、不動産業、個人事務所での勤務を経て令和4年6月に大阪市にて独立開業

保有資格
税理士
宅地建物取引士

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