エンジェル税制の確定申告、どうやってやるの?|難波の税理士【山本たかし会計事務所】クラウド会計・相談無料
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2025/12/15会計業務
エンジェル税制の確定申告、どうやってやるの?
ベンチャー企業への投資を後押しする制度として「エンジェル税制」があります。
個人投資家にとっては節税効果を享受できる大きなメリットです。
適用を受けるための確定申告はどのように行えばいいのでしょうか。
この記事では、エンジェル税制における確定申告について、その内容や必要な書類、申告書の作成方法などを解説します。
エンジェル税制とは
エンジェル税制とは、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。
個人投資家の所得税や住民税の負担を軽減することで、スタートアップ企業への資金供給を促進し、企業支援と経済活性化を目的として設けられています。
優遇措置には、優遇措置Aと優遇措置Bの2種類があります。
どちらも、確定申告を行わなければ優遇措置は受けられませんので注意しましょう。
優遇措置A
優遇措置Aは、投資したときに適用するもので、所得控除により所得税と住民税の負担を軽減します。
給与所得や事業所得など、総所得金額から、その年に行った投資額の一定額までを控除でき、税負担が軽減されることになります。
優遇措置B
優遇措置Bは、株式を売却したときに適用するもので、キャピタルゲイン(譲渡益)が非課税となります。
通常の株式の譲渡益には課税されますが、この優遇措置を適用すると、投資した未上場株式を売却した際の譲渡益が一定額まで非課税になります。
確定申告とは?エンジェル税制の優遇措置を受けるには確定申告が必要?
確定申告とは、個人の所得について、その1年(1月1日から12月31日まで)に得た所得を自分で計算し、申告・納税する制度です。
申告は翌年3月15日までに行う必要があります。
会社員の方で、給与以外に所得がなく、会社で行う年末調整のみで完了していた方など、今まで確定申告を行う必要がなかった方もエンジェル税制の優遇措置を受けるためには確定申告を行う必要があるので注意しましょう。
確定申告は、①必要書類を準備し、②申告書を作成し、③申告を行う、という3つの手順で進めます。
具体的に解説していきます。
エンジェル税制の確定申告に必要書類の準備

エンジェル税制の確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- ①確認書
ベンチャー企業は、都道府県へ自社がエンジェル税制の対象であること、投資が行われたこと等の確認申請を行います。
申請を受けた都道府県は、確認後、ベンチャー企業に確認書を交付しますので、これをベンチャー企業から受け取る必要があります。 - ②一定の株主に該当しない旨の確認書
- ③投資契約書の写し
- ④株式異動状況明細書
申告書の作成
優遇措置の種類によって作成する書類が異なります。
優遇措置Aは控除手続き、優遇措置Bは非課税枠の利用が必要です。
【共通して必要な書類】
特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
投資した企業1社に対し1枚の作成が必要です。
【優遇措置Aに必要な書類】
特定新規中小企業が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
【優遇措置Bに必要な書類】
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
投資した企業の数に関わらず1枚の明細書作成で足ります。
申告する
国税庁の確定申告書作成コーナー(e-Tax)において、画面にしたがって確定申告書を作成していきます。
エンジェル税制適用の他に、給与所得などの収入、社会保険料や生命保険料控除、医療費控除、扶養控除や配偶者控除など各種の所得控除など、必要事項を入力して確定申告書を作成し、税額を計算します。
納税額が発生する場合には期限までに納付しましょう。
残念ながらe-Taxのみで完結できず、書類などは税務署に郵送する必要があります。
申告書のみをe-Taxで電子申告するのがおすすめです。
エンジェル税制の確定申告時の注意点
いくつか注意点をまとめました。
①投資時期
12月末時点で「株主」になっている必要があります。
投資時期と確定申告時期を誤らないようにしましょう。
②複数社に投資している場合
投資先の企業ごとに明細書を作成する必要がありますので注意しましょう。
③e-Tax
確定申告はe-Taxで電子提出できますが、必要書類は郵送する必要があります。
すべてを紙で提出することも可能です。
まとめ
エンジェル税制の確定申告についてまとめました。
必要書類を揃えて、優遇措置に応じた申告書を作成し、税務署に提出します。
投資した年の翌年3月15日までに必ず申告し、e-Taxだけで完結出来ない書類は郵送することを忘れないようにしましょう。
優遇措置を受けるには確定申告が欠かせません。
余裕を持って準備し、わからない場合には専門家に相談するなど安心して制度を活用できるといいですね。

