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2025/01/10勘定項目
接待交際費を経費にしたい!経費計上のポイントを解説
事業経営をしていると、取引先との食事会、お中元やお歳暮、祝儀や香典などの支払いが出てきます。
これらは概ね、「接待交際費」として費用計上することができますが、注意すべきポイントがあります。
接待交際費とは?
接待交際費とは、取引先など事業に関係がある人や企業を食事でもてなしたり、お中元やお歳暮など物品を渡したりしたときの費用などをいいます。
接待交際費について、個人事業主と法人とを区別して解説していきます。
個人事業主の場合の接待交際費
個人事業主は所得税法に従うことになります。
所得税法では、経費に計上できるものとして、「総収入金額を得るために直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額」としています。
つまり、収入を得るために必要な費用であれば経費として計上できるということです。
法人の場合の接待交際費
法人は法人税法に従うことになります。
法人税法では、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」としています。
事業に関係するものだけを計上する点は個人事業主、法人に共通しています。
しかし、法人については、会計上は交際費として計上しても、法人税の計算上「損金不算入」が原則で、法人の規模に応じて損金算入できる措置が設けられています。
つまり、接待交際費は損金算入限度額があり、無制限に経費計上することは認められないのです。
接待交際費に該当するもの
接待交際費に該当する主なものをご紹介します。
①得意先との会食費用
得意先との会食費用は接待交際費に該当します。
飲食代や手土産代、タクシー代なども接待交際費に含まれます。
ただし、1人当たり10,000円以下の会食費用は接待交際費ではなく、「会議費」などとします。
判断や証拠のため、会食の日付や参加した人数、相手との関係や金額がわかるように証憑を保存する必要があります。
②お中元やお歳暮の費用
取引先へのお中元やお歳暮の費用は接待交際費に該当します。
③ゴルフや旅行などの費用
得意先をゴルフや旅行、イベントなどに招待した際の費用は接待交際費に該当します。
④ご祝儀、香典など
得意先へのご祝儀や香典も接待交際費に該当します。
接待交際費としないもの
接待交際費と間違えやすい主な勘定科目は、次のようなものです。
①会議費
会議費は、会議や打ち合わせに関連する費用のことです。
接待交際費にあたる会食費用であっても、前述のとおり、1人当たり10,000円以下の会食費用は、接待交際費ではなく「会議費」などの勘定科目で経費計上します。
会議費は損金算入限度額がなく、全額損金算入が可能です。
なお、会議に関する費用であれば、10,000円を超えても「会議費」です。
混同しないようにしましょう。
②福利厚生費
自社の従業員などが参加する社員旅行や食事会などは接待交際費に該当せず、「福利厚生費」として費用計上します。
ただし、一部の従業員だけでなく、全員に通知がなされ、大部分の従業員が参加していることがポイントとなります。
③広告宣伝費
カレンダーや手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するためにかかった費用や、宣伝的効果を意図した費用は、接待交際費ではなく、「広告宣伝費」に該当します。
法人税法上の制限
前述のとおり、法人税法では原則的に「交際費は損金不算入」としていますが、法人の規模に応じて、損金算入できる措置が設けられています。
①資本金または出資金が1億円以下の場合
接待交際費を、1事業年度において800万円までは損金算入することができます(1年に満たない事業年度の場合は月数按分します)。
また、上記800万円に代えて、接待交際費の50%を損金算入とすることもできます。
すなわち、接待交際費の総額が1600万円を超える場合には50%を選択するほうが有利、となりますが、一般的な中小企業の場合では800万円の損金算入を選ぶことがほとんどでしょう。
②資本金または出資金が1億円超かつ100億円以下の場合
規模の大きな法人の場合、基本的に業務に必要な接待交際費であっても損金算入できません。
しかし、景気対策として、大規模な法人についても接待交際費の50%まで損金算入ができる措置がなされました。
なお、100億円超の法人の場合は全額損金不算入です。
消費税の注意点
商品券やギフト券などを購入して得意先に贈答した場合、消費税は非課税です。
購入時ではなく、使用時に「消費した」と考えればわかりやすいでしょう。
また、課税取引であっても軽減税率の判断が必要です。
外食は10%ですが、飲食物を購入した場合は軽減税率8%となります。
その他、10,000円以下かどうかの判断をする際の金額は、法人が適用している経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)によることも覚えておきましょう。
まとめ
接待交際費の経費計上について解説しました。
内容に合わせて適切な勘定科目を選択し、ポイントを押さえた経理処理を目指しましょう。