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2024/08/21勘定項目
保険料を経費計上したい!仕訳に使える勘定科目を解説
法人や個人事業主が保険料を支払った場合、どのような勘定科目を使用すればよいのでしょうか。
この記事では、保険料にまつわる勘定科目を、仕訳パターンと併せてわかりやすくまとめています。
保険料にまつわる勘定科目は?
法人や個人事業主が、事業に必要な保険料を支払った場合、使用する勘定科目は保険の種類や内容により異なります。
保険料には、生命保険や損害保険、従業員の社会保険料などがあります。また、「保険金」を受け取る場合もあります。
パターンごとに解説していきます。
保険料・保険積立金
保険には、大きく分けて「生命保険」と「損害保険」があります。
生命保険には終身保険や養老保険、定期保険、損害保険には火災保険や賠償責任保険、自動車保険などがあります。
原則的に、保険料には保険部分と貯蓄部分があるため、保険料を支払った際には、保険部分は「保険料」、貯蓄部分は「保険積立金」の勘定科目を使います。
(借方)保険料 50,000円
保険積立金 50,000円
(貸方)普通預金 100,000円
特に、生命保険については注意が必要です。
(1)定期保険 | 定期保険は、基本的に掛け捨てであるため、「保険料」に該当します。 |
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(2)終身保険 | 被保険者が死亡した際には死亡保険金が支払われるため、貯蓄部分については「保険積立金」として資産計上します。 |
(3)養老保険 | 貯蓄性が高い生命保険で、被保険者が死亡時には死亡保険金、満期時に存命の場合は満期保険金が支払われます。 この保険金の受取人が法人である場合には、貯蓄部分については「保険積立金」として資産計上します。 保険金受取人が本人や遺族の場合には、役員や従業員に対する「給与」とされます。 また、死亡保険金の受取人が本人・遺族、満期保険金の受取人が法人の場合は、2分の1を「福利厚生費」、残りの2分の1を「保険積立金」とします。 |
事業主貸
個人事業主が、店舗にかかる火災保険料や、事業用とする車の自動車保険料を支払った場合には「保険料」として経費計上できますが、私的な生命保険料などは「事業主貸」の勘定科目とし、経費計上しません。
ただし、所得税の計算上、生命保険料控除などが受けられます。
(借方)事業主貸 30,000円
(貸方)普通預金 30,000円
保険金の受取りをした場合
法人が保険金を受け取った場合、保険料支払時に「保険料」とした場合には「雑収入」として計上します。
(借方)普通預金 2,000,000円
(貸方)雑収入 2,000,000円
なお、保険料支払時に「保険積立金」として資産計上した部分がある場合には、その部分は積立金の取り崩し、差額は雑収入または雑損失となります。
(借方)普通預金 2,000,000円
保険積立金 1,000,000円
(貸方)雑収入 1,000,000円
個人事業主が保険金を受け取った場合、経費計上した保険についての保険金であれば「雑収入」に該当しますが、「事業主貸」とした保険についての保険金であれば「事業主借」として、事業の損益には影響させないようにします。
前払費用
保険料の支払いには、毎月支払うものや、年払い、1年を超える期間分の保険料を支払うものもあります。
会計上、事業年度に対応した部分だけを費用とするルールですので、当年度分だけを「保険料」、翌期の保険料については「前払費用」、翌々期以降の保険料については「長期前払費用」とします。
①支払時 | (借方)保険料 240,000円 (貸方)普通預金 240,000円 |
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②初年度決算時 | (借方)前払費用 120,000円 長期前払費用 80,000円 (貸方)保険料 200,000円 |
③2期目 | (借方)保険料 120,000円 前払費用 80,000円 (貸方)前払費用 120,000円 長期前払費用 80,000円 |
④3期目 | (借方)保険料 80,000円 (貸方)前払費用 80,000円 |
法定福利費・預り金
法人の場合、従業員の社会保険料の負担が発生します。
社会保険料は、健康保険、介護保険、厚生年金保険、労働保険が該当し、従業員と法人が折半して負担する仕組みです。
従業員の毎月の給与額から社会保険料を天引きし、会社負担分を合算して納付します。
経費になるのは会社が負担した部分です。
①給与20万円から3万円の社会保険料を天引きして支給する | (借方)給与 200,000円 預り金 30,000円 (貸方)普通預金 170,000円 ※源泉所得税や住民税については考慮していません。 |
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②社会保険料を納付する | (借方)法定福利費 30,000円 預り金 30,000円 (貸方)普通預金 60,000円 |
なお、労働保険料は労災保険料と雇用保険料に分けられ、労災保険料は会社負担、雇用保険料は従業員と会社で負担しますが折半ではなく、年度により保険料率が異なります。
また、社会保険料と労働保険料は異なるタイミングで納付します。
まとめ
事業において保険料を支払った場合、保険の内容や種類によって勘定科目は異なります。
特に、生命保険は保険金の受取人に注意するなど、内容をよく確認しましょう。
正確に処理すれば決算時や確定申告時の手間も減るうえ、税務調査の際も安心です。