役員報酬の決定!税理士と社労士どっちに依頼する?|難波の税理士【山本たかし会計事務所】クラウド会計・相談無料
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2025/07/11会計業務
役員報酬の決定!税理士と社労士どっちに依頼する?

役員報酬の金額を決定したり、算定したりする場合、税理士と社労士、どちらに依頼すればいいのでしょうか。
この記事では、税理士と社労士の専門領域について解説し、その違いを把握したうえでどちらに依頼すべきかを判断するポイントをまとめています。
ぜひ参考にしてください。
税理士の業務
税理士の業務は様々ありますが、なかでも独占業務とされる「税務代理」、「税務相談」、「税務書類の作成」の3つは、税理士でなければ代行できない業務です。
税務代理 | 納税者に代わって税務申告を行ったり、税務調査の立ち会いをしたりする |
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税務相談 | 税金に関する相談を受ける |
税務書類の作成 | 納税者がすべき税務書類の作成を代理する |
代表的なものとして、決算申告書類の作成や申告、税務相談などは税理士でなければ代行できないという点を押さえておきましょう。
社労士の業務・税理士との違い
社労士は、社会保険や労務に関連する業務の専門家です。
社会保険労務士法に基づく独占業務は、申請書や報告書などの提出手続き代行と、賃金台帳や労働者名簿などといった帳簿書類の作成です。
給与計算は特定の資格は必要とせず、税理士と社労士、どちらに依頼することも可能です。
どちらか一方に依頼する場合には、それぞれの専門性を把握し、「何をしてほしいのか」という目的を明確にすることが大切です。
節税対策!役員報酬の決定について
中小企業が使える節税対策として、役員報酬の決め方は重要です。
役員報酬は法人税法上、利益調整防止の観点から、経費として損金算入するためのルールが設けられています。
そのルールは以下の4つです。
役員報酬の金額は毎月同額「定期同額給与」
原則として、役員報酬の金額は毎月同額でなければなりません。
会社法によるものです。
役員報酬の金額の変更ができる期間は決まっている
役員報酬の金額を変更したい場合、事業年度開始から3か月以内でなければいけません。
もしこの期間以外に役員報酬を変更すると、役員報酬の損金算入が認められず、法人税の負担が大きく増えてしまう場合があります。
ただし、会社の大幅な業績悪化などで役員報酬の変更が認められる場合もありますが、厳格に審査されることに注意しましょう。
賞与を支給する「事前確定届出給与」
役員報酬として、毎月の「給与」の他に「賞与」を支給することもあります。
その場合は税務署にあらかじめ「事前確定届出給与に関する届出書」を作成・提出し、支給しなければいけません。
この届出書は、事業年度開始または株主総会・取締役会決議から4か月以内か、役員報酬について決議した株主総会から1か月以内に提出します。
届出書に記載した金額を、記載した日付どおりに支給しなければ損金算入が認められないルールとなっていますので特に注意が必要です。
株主総会での決議
役員報酬の決定は、定期同額給与についても賞与についても、株主総会等での決議が必要です。
税務調査でもチェックされる場合が多いため、株主総会の議事録を必ず作成・保管しましょう。
どちらに依頼すべきか?ポイントは?
役員報酬の決定を誤ると、役員報酬が高すぎて赤字になってしまう場合や、低すぎて法人税が高くなり、加えて私生活の経済面が苦しくなってしまう場合があります。
役員報酬の決定には、法人税の負担を抑えつつ、個人の所得税の税率や社会保険料の負担なども総合的に勘案する必要があるのです。
一般的には、事業年度ごとに自社の経営状況に合わせて役員報酬を改定します。
よって、役員報酬の決定や算定については税理士に依頼するのがおすすめです。
役員報酬の決定・算定に税理士に依頼するメリット
税理士は、税金に関する専門家であるため、節税対策の相談が可能です。
前述のとおり、役員報酬は法人税や所得税、税務書類の作成・提出など、税理士の独占業務に該当する内容を多く含んでおり、経営や税金について総合的に勘案できる、というメリットがあります。
税理士に依頼するデメリット
税理士は税金に関するプロですが、社会保険や雇用保険などの労務についての対応は専門外です。
ある程度の知識を備えている税理士がほとんどですが、専門ではないため、従業員の入退社の手続きや、社会保険の定時決定や随時改定、労働保険、賞与支払届の提出など社会保険に関する業務を代行してほしい場合には、税理士だけの依頼では困難でしょう。
まとめ
役員報酬の決定・算定について、税理士に依頼すべきか、社労士に依頼すべきか?を解説しました。
どちらも給与計算の代行が可能ですが、その専門領域には違いがあります。
役員報酬の決定には総合的なシミュレーションが必要となるため、税理士に依頼する方が良いでしょう。
それぞれの専門性を理解し、依頼したい内容や自社の規模、従業員の人数などを勘案して依頼先を選ぶことが大切です。