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2023/09/15勘定項目
ワーケーションの費用は経費にできる? 注意点も解説
みなさんはワーケーションをご存じでしょうか?
ワーケーションは、場所を変えて豊かに暮らし働く手段であり、仕事の意味であるワークと休暇の意味であるバケーションという意味を組み合わせた造語です。
本記事では、ワーケーションの費用は経費計上できるのか、気をつけるべき注意点をご紹介します。
ワーケーションとは?
ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた言葉です。
非日常の土地で仕事をすることで、生産性やメンタルヘルスを高め、より良いワークライフスタイルの実現を目指すものです。
コロナ禍の影響などにより、リモートワークの環境整備が進み、オフィスではない場所で仕事をすることがより身近になったのではないでしょうか。
ワーケーションは、仕事とプライベートが混在しているため、ワーケーションにより発生した費用が、経費として認められるかどうかの判断はあいまいになりがちです。
会計上、業務のために必要な費用でなければ経費として認められません。
ワーケーション費用のうち、経費にできるものと、経費にできないものとをしっかり区別する必要があります。
ワーケーションによって発生する費用とは
ワーケーションによって発生する費用は業種によって異なりますが、主なものを挙げてみましょう。
①交通費 | 移動にかかる電車代など |
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②宿泊費 | ホテル代や旅館代 |
③飲食代 | 取引先との食事代 |
④消耗品費 | PC関連用品、事務用品代など |
⑤通信費 | ネット使用料や携帯電話代など |
⑥施設利用料 | 仕事をするために利用する施設の費用 |
ワーケーションの費用のうち経費にできるのは?
例に挙げた費用のうち、「業務のために必要な費用」とは具体的にどんなものでしょうか。
①交通費②宿泊費
まず、会社が定めている旅費規程や就業規則などを確認しましょう。
ワーケーションを福利厚生の制度として会社が認めている場合もありますので、その範囲を確認しましょう。
基本的には、自分が好きな場所でリモートワークをすることを目的した交通費や宿泊費は、ほとんど経費として認められないでしょう。
好きな場所に行くことが、「業務に必要」とはいえないからです。
しかし、取引先と仕事をするために支払った費用は経費となります。
例えば、取引先との会議場所までの交通費や宿泊費は認められるでしょう。
業務のために必要かどうかがポイントです。
③飲食代
仕事に限らず、人は誰もが食事をとります。そのため、食事代は基本的に経費になりません。
しかし、業務に関わる飲食代であれば経費として計上できます。
- 従業員の福利厚生にあたるような飲食代(=福利厚生費)で、慰労会や歓送迎会など、従業員におおむね一律に提供されているもの
- 取引先との会議に関連する飲食代(=会議費)
- 事業に関係する人に対する接待のための飲食代(=接待交際費)
ワーケーションで発生するものは、取引先との会議や接待のための飲食代などが考えられます。
ただし、金額には上限があります。規定を確認しておきましょう。
④消耗品費
ワーケーション先で必要になった書籍やPC関連の部品などの費用については、業務のために必要と認められれば経費として計上できるでしょう。
消耗品も同様、金額の上限は確認しておきましょう。
⑤通信費
業務上、インターネット回線の利用は必須ですから、通信費は必ず発生するでしょう。業務に必要なインターネット利用料や電話代は経費として認められます。
ただし、プライベートでもインターネットや携帯電話を利用する場合がほとんどだと考えられますので、費用全額を経費にすることは適当ではないでしょう。
仕事用とプライベート用を明確に区分できるかを検討し、できない場合には、使用割合や労働時間の割合を使って算定する方法も考えられます。
会社の規定を確認し、担当者に相談してみましょう。
⑥施設利用料
ワーケーション用の施設を利用する場合には、その利用料は経費として認められる可能性が高いでしょう。
仕事をするための施設ですので、経費性が高いと考えられます。
施設利用料についても、会社で認められる金額の上限などは確認しましょう。
注意すること
業務のために必要かどうか、プライベートな費用でないかどうかが経費性の判断基準になります。
仕事用とプライベート用を、明確に区別できる場合はよいですが、通信費のように区別が難しい費用については、使用割合や労働時間などの割合で算定することもある、と理解しておきましょう。
また、ワーケーションに限らず、支払った費用の証拠書類は必要です。
会社との精算の際に提出するものですが、会計上、経費計上するためには証拠書類を保存しなければいけないルールがあるためです。
なお、今回の解説は、会社に勤務されている方のワーケーションを前提にまとめていますが、個人事業主が経費計上を考える際には、さらに厳しく判断することが妥当です。
従業員の場合には、福利厚生という側面があることも許容されますが、個人事業主において福利厚生の要素は認められませんので注意が必要です。