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2024/03/20インボイス制度
交際費は損金算入OK?インボイス制度での取扱い
令和5年10月1日から始まったインボイス制度。
今回は、交際費の取り扱いと、インボイス制度が与える影響についてまとめました。
また、令和6年度の税制改正により交際費の取り扱いが変わります。併せて確認しましょう。
交際費とは
交際費とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの、と定義されています。
端的に言えば、会社が、得意先や仕入先などの事業に関係する人に、接待をしたり、もてなしたりするためにかかった費用のことです。
接待のためのゴルフの費用や、懇親会や食事会の費用、お中元やお歳暮、御祝い金や香典などがわかりやすいでしょう。
なお、交際費を考える際には他の支出との区別が重要です。
寄付金との区別、広告宣伝費との区別、売上値引きとの区別、福利厚生費や給与や役員報酬との区別、を理解しなければいけません。
その支出が交際費に該当するかどうか確認しましょう。
交際費は損金算入OK?
ところで、法人税は、益金から損金を差し引いたもの(=課税所得といいます)に税率を乗じて計算されます。
損金が多くなれば、課税所得が減少し、算出される法人税額は少なくなります。
損金に算入できるかどうかは税額を計算する上で大きなポイントとなります。
さて、交際費は損金算入することが認められているのでしょうか?
税法の交際費に対する考え方は、原則として損金不算入です。
一般的な感覚としても、飲食代やゴルフ代、贈答品、なんでも損金算入OK、というのは違和感がありますね。
しかし、法人が円滑な事業を行うためには、一定の交際費が必要であることも事実です。そのため、交際費の意義や範囲、算入限度額などを定めたうえで損金算入が認められています。
また、交際費の損金算入を認めることは、経済の活性化、飲食店などの活性化を図る目的もあるといえるでしょう。
交際費の損金算入のポイント
交際費について、損金算入できるポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
①中小法人 | 資本金が1億円以下の法人であれば、年間800万円までの交際費は損金算入が認められています。年間800万円を超えない場合は、交際費の損金算入についてあまり気にする必要はないでしょう。 なお、資本金が1億円超の法人は、800万円基準は使えず、交際費×50%が損金不算入とされています。さらに、100億円超の法人の場合には、全額が損金不算入とされています。 |
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②交際費ではなく「会議費」としてOKなもの | 現行、1人あたり5,000円以下の飲食代は「会議費」とすることで損金算入が認められています。さらに、令和6年度改正により、1人あたり10,000円以下まで範囲が広がることとなりました。 交際費800万円超の中小法人や、資本金1億円以上の大企業の場合には、交際費ではなく会議費として計上することが、法人税の計算上のメリットとなります。 |
インボイス制度の影響
さて、会議費として損金算入が認められる現行5,000円基準ですが、消費税について税込経理を行っている法人の場合は、税込5,000円を基準として判断し、税抜処理を行っている法人の場合は、税抜5,000円であれば会議費としてOK、と判断します。
税抜処理を行っている法人の場合で、飲食店がインボイス登録事業者でない場合には、この5,000円基準の判断に影響が出るため、注意が必要です。
インボイス発行事業者でない飲食店で交際費を支払った場合、経過措置により、3年は消費税額の80%、その後3年は50%の仕入税額控除、経過措置終了後は全額仕入税額控除ができない取扱いとなります。
例えば5,280円の飲食代を支払った場合、次のようなケースが考えられます。
①80%控除の場合 | 税抜金額4,800円+消費税額480円、ですが、480円のうち仕入税額控除ができない20%部分(480円×0.2=96円)が交際費の本体部分に含められますので、4,800円+96円=4,896円で5,000円以下、会議費OK,と判断されます。 |
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②50%控除の場合 | 消費税額480円のうち、仕入税額控除ができない50%部分(480円×0.5=240円)が本体部分に含められますので、4,800円+240円=5,040円で5,000円を超え、会議費にはできない、と判断されます。 |
③経過措置終了後 | 5,280円全額が飲食代となり、5,000円を超え、会議費にはできない、と判断されます。 |
なお、この5,000円基準は飲食代が適用対象です。贈答品の購入など他の交際費に適用しないよう注意しましょう。
まとめ
交際費の取り扱いとインボイス制度の影響についてまとめました。
税抜処理の場合には飲食代の計算が変わり、法人税額に影響があります。細かいことですが、積み重なると大きな影響となります。確認しておきましょう。