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2023/11/08ふるさと納税

住宅ローン控除とふるさと納税、併用するときの注意点

住宅ローン控除とふるさと納税、併用するときの注意点

ふるさと納税は、好きな自治体や生まれ育ったふるさとを応援することができる制度です。
各市町村の名産品を貰えるなどメリットもあり、年々利用者が増えています。

一方、住宅ローン控除は、数年にわたり大きく減税できる制度です。

住宅ローン控除を適用されていて、ふるさと納税との併用は可能なのか疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

本記事では、ふるさと納税と住宅ローン控除の概要と、併用する場合の注意点などを詳しく解説しています。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅借入金等特別控除といい、住宅ローン等を利用してマイホームを取得等(増改築などを含みます)した場合で、一定の要件を満たすときは、住宅ローン等の年末残高等を基として計算した金額を所得税から、控除しきれなかった分を住民税から税額控除できる制度です。

控除率や期間、最大控除額などは、居住年や住宅の環境性能等によって異なります。
要件をしっかり確認しましょう。

なお、住宅ローン控除を受けるには初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で足ります。

ふるさと納税とは

ふるさと納税制度は、自分が選んだ自治体に寄付する制度です。

ふるさと納税を行った場合、2,000円を超える部分について所得税と住民税から控除される仕組みです。

正確には所得税では所得控除、住民税では税額控除です。

控除限度額は、収入や扶養人数などで異なります。
上限を超えた部分は控除できませんので、ふるさと納税サイト内のシミュレーションを利用するなど、まずは自分の限度額を把握しましょう。

ふるさと納税の申告方法としては(1)確定申告をする、(2)ワンストップ特例を利用する、の2種類があります。

(1)確定申告をする

R5年中に行ったふるさと納税は、R6年3月15日までに確定申告をします。
R5年の所得税から控除され、加えてR6年度の住民税からも控除される仕組みです。

寄付金受領証などの証明書類の保管は必須です。

(2)ワンストップ特例を利用する

確定申告が不要なサラリーマンで、ふるさと納税を行う自治体が5団体以内であればワンストップ特例を利用できます。
ふるさと納税を行う際に「ワンストップ特例申請書」を各自治体に提出しておけば、所得税からの控除はされず、控除額の全額が翌年度の住民税から控除され、確定申告が不要になる制度です。

住宅ローン控除とふるさと納税の関係

住宅ローン控除とふるさと納税の関係
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。

ただし、算出される税額以上に控除することができませんので、控除しきれない部分が出る可能性があります。
また、申告方法によって控除の仕組みが異なるため、方法別に整理します。
控除の順番に注目してください。

確定申告する場合

控除の順番

  1. ① ふるさと納税控除分が所得控除される
  2. ② ①の分が減少した課税所得に税率を乗じて税額が算定される
  3. ③ ②の税額から住宅ローン控除分が税額控除される
  4. ④ 所得税で引ききれなかった住宅ローン控除残額を、住民税から最高97,500円まで控除される
  5. ⑤ 住民税からふるさと納税控除分が税額控除される

確定申告しない場合(ワンストップ特例を利用する場合)

控除の順番

  1. ① 住宅ローン控除分が所得税から税額控除される
  2. ② 所得税で引ききれなかった住宅ローン控除残額を、住民税から最高97,500円まで控除される
  3. ③ 住民税からふるさと納税控除分が税額控除される

※住民税から控除される最高税額はケースによって136,500円の場合もあります。

最大のポイントは確定申告をする場合、ふるさと納税の所得控除が最初に行われる点です。

最初にふるさと納税の所得控除が行われると、課税所得が減少し、所得税が減少します。
つまり、住宅ローン控除できる所得税額が減る、ということです。
控除しきれなかった控除残額を住民税から控除することになりますが、住民税から控除できる住宅ローン控除は97,500円の上限があるため、控除できない部分が発生する可能性があります。

なお、ワンストップ特例を利用する場合には、ふるさと納税の全額が住民税から控除されますので、課税所得が減少することはありません。

まず住宅ローン控除額を全額使用できる範囲で、ふるさと納税の上限額を考え、次に申告方法によって控除額に影響が出ないかを検討しましょう。

住宅ローンとふるさと納税の併用の注意点

①住宅ローン控除初年度は確定申告

前述のとおり、住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です。
よって、初年度はワンストップ特例制度を利用できません。

ワンストップ特例申請書を各自治体に提出していても、確定申告をするとすべて無効になります。
どんな場合でも確定申告の際はふるさと納税の控除を忘れずに申告しましょう。

②2年目以降の住宅ローン控除を年末調整で受ける場合

年末調整で住宅ローン控除を受ける場合、ふるさと納税についてはワンストップ特例制度を利用できます。

ただし、他に医療費控除や雑損控除などを受ける場合には確定申告が必要です。
①と同様、ふるさと納税の控除を忘れないようにしましょう。

また、源泉徴収票に記載されている住宅ローン控除額も忘れずに転記する必要があります。

まとめ

住宅ローン控除とふるさと納税、その併用について解説しました。

併用の場合、ふるさと納税の限度額には要注意です。
申告方法によって控除額に影響が出ないか検討しましょう。

当初はワンストップ特例を利用する予定であっても、他の控除を受けるため等確定申告を行うことになる場合も考えられます。

どちらの方法になっても、控除額に影響がでないよう、事前のシミュレーションをお勧めします。

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この記事の監修者

山本たかし会計事務所代表:(税理士)山本卓志

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税理士

山本 卓志
Yamamoto Takashi

昭和50年兵庫県生まれ。
大学卒業後、不動産業、個人事務所での勤務を経て令和4年6月に大阪市にて独立開業

保有資格
税理士
宅地建物取引士

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