資本金1円で会社設立できる?メリット・デメリットを紹介|難波の税理士【山本たかし会計事務所】クラウド会計・相談無料
- 山本たかし会計事務所TOP
- コラム
- 会社設立
- 資本金1円で会社設立できる?メリット・デメリットを紹介
2025/05/20会社設立
資本金1円で会社設立できる?メリット・デメリットを紹介

会社設立は1円でできるのか?
これは資本金1円でも会社設立ができるようになった、という意味で、実際には登録免許税や定款認証の手数料などがかかるため、本当に1円だけで会社を設立できるわけではありません。
本記事では、会社の設立について解説し、資本金1円で設立する場合の具体的な注意点などをまとめています。
会社の設立は1円でできるのか
かつては、会社設立には1000万円以上の資本金が必要とされていましたが、会社法の改正により1円の資本金でも会社の設立が可能になりました。
資本金とは、設立時に出資者が出資したお金で、会社にとっては返済不要の資金です。
資本金は事業を行ううえで大切な資金となるものです。
資本金を1円とする場合、設立のハードルが低く、起業しやすいなどのメリットがありますが、早々に資金繰りの問題が発生するリスクがあるなど、慎重な検討と計画が必要となるでしょう。
1円のメリット
資本金1円で会社を設立する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
起業がしやすい
資本金を用意する必要がないため、会社設立のハードルが大幅に下がります。
起業のスピードを加速する一助になるでしょう。
資本金1000万円未満の会社は消費税免税
新設法人で資本金が1000万円未満の会社は、消費税の納税義務が免除されます。
事業にリソースを注ぎたい時期に、納税義務の免除は大変有利でしょう。
会社設立による信用度
法人化すると、個人事業主よりも信用力が高まるため、取引先が広がり、ビジネスチャンスが増加する可能性があります。
設立後の法人税負担の軽減
会社を設立すると、法人税を負担することになりますが、資本金を1円とした場合、法人住民税の均等割や法人事業税の負担が軽く済みます。
法人事業税は資本金が1億円以下であれば所得に応じた税額のみが発生しますが、1億円を超える法人は赤字であっても税金が発生します。
一方、法人住民税は均等割と法人税割の2つで構成されていて、法人税割は法人税の税額を基に計算しますが、均等割は資本金等の額や従業員数が多くなるほど税額が高くなる構造です。
そのため、資本金1円であれば税負担が軽く済むというわけです。
1円のデメリット
取引先の信用は?
資本金が多い=株主からの信用があり、資金調達能力が高く、支払能力もあるとみなされます。
取引先の信用を得ると安定した取引ができますが、資本金1円の場合、そのような信用を得られないリスクはあります。
金融機関の信用は?
金融機関からの融資を検討する際、多くの金融機関は、資本金の額に基づいた融資の枠組みを設定しています。
そのため、資本金が少ないせいで融資が受けられない、少額融資になる、といったリスクはあります。
資金繰りは?
資本金は返済義務のない資金です。
資本金が多いほど資金繰りに余裕があるといえます。
資本金1円の場合には運転資金が不足するリスクが高く、支払資金を確保する仕組みが必要です。
会社の設立費用
実際の会社設立にかかる費用は資本金の他に、登録免許税と定款認証代、印紙代、法人の実印代、司法書士報酬などが挙げられます。
登録免許税は、会社形態を株式会社にするか合同会社にするかで異なりますが、6万円から15万円かかります。
定款認証費用は、株式会社設立の場合、公証役場で認証を受ける際に発生します。
合同会社の場合は認証不要です。
また、電子認証の場合にはかかりませんが、紙の定款を作成した場合には印紙代4万円が発生します。
その他、登記申請の際に法人の実印が必須であるため、印鑑費用が発生します。
また、司法書士に依頼する場合には報酬なども考慮しましょう。
資本金を決める際のポイント
以上を踏まえ、資本金を決める際のポイントを挙げてみます。
資本金は1000万円未満に
前述のとおり、法人事業税や法人住民税は資本金の額により負担が異なるうえ、消費税の免税メリットなども考慮すると、1000万円未満に設定するのがおすすめです。
運転資金の把握
事務所の賃料や設備費、商品の仕入代やスタッフの給与など、運転資金の準備が必要です。
3か月から6か月分の余力を確保して事業をスタートしたいところです。
業種による最低資本金には注意
許認可の際、業種によっては一定の資本金が必要な場合があります。
例えば、建設業では「財産要件」として自己資本額が500万円以上、または500万円以上の資金調達力を有することとされています。
建設業の他に、有料職業紹介事業や労働者派遣事業、第一種旅行業などがあります。
ご自身の業種について慎重に確認しましょう。
まとめ
会社設立は、資本金以外にも登録免許税や定款認証費用がかかります。
また、当面の運転資金や金融機関の信用度などを考慮すると、適切な資本金を設定することが望ましいといえます。
1円での会社設立を考えている方は、メリットとデメリットを慎重に検討してみましょう。