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2023/07/18クラウド会計
クラウド会計を導入すると助成金を受けられる?IT導入補助金を受けるには。
今多くの企業でクラウド会計ソフトの導入が進んでいます。近年ますます便利になっており、クラウド会計ソフトを導入することにより、日々の会計業務の負担を大幅に軽減出来るだけでなく、確定申告や決算処理までサポート対応をしてくれます。
しかしクラウド会計を導入することで、「IT導入補助金」というものを受け取れる可能性があることはご存知でしょうか。
ここ数年コロナ対策として様々な補助金が出ましたが、脱コロナによる経済の回復の中で多くの補助金が縮小傾向となっています。そんな中で唯一拡充されてきているのが、今回紹介するIT導入補助金です。
これは今後の日本の課題である中小企業のDX化を国として推進したいという思惑に沿うもので、このような助成金は今後も続いていくものと思われます。
ぜひ今回の記事を参考にIT導入補助金の活用を検討頂ければと思います。
IT導入補助金とは
まずIT導入補助金の概要について確認していきましょう。
参考:「サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2023』の概要」
概要、類型について
IT導入補助金とは、経済産業省、中小企業庁、中小機構による、IT導入にかかった費用の一部を助成する中小企業向けの制度です。
業務効率化やインボイス制度対応などのためのソフトウェアの購入やクラウド導入にかかる費用を助成するもので、2023年においても引き続き申請が可能です。
2023年版のIT導入補助金は、通常枠(A類型、B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型、、商流一括インボイス対応類型、複数社連携IT導入類型デジタル化基盤導入枠)の全6種類があり、それぞれ補助対象や補助額などが異なります。
補助対象となる事業者は、中小企業や個人事業主を含む小規模事業者等であり、飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育サービスの他、製造業や建設業等も対象となります。
IT導入補助金の補助上限と補助率について
通常枠(A・B類型)
通常枠(A類型、B類型)は、生産性向上を目的とするITツールの導入を支援するものです。
一定の要件はあるものの、他の枠と比べると要件は軽く、比較的利用しやすい制度と言えます。
通常枠の、A類型とB類型の大きな違いは、ITツール導入による生産性向上を目指す種類の数と賃上げ目標、補助額です。
A類型はITツール導入によって、「調達・供給・在庫・物流」「会計・財務・経営」など、7種のプロセスのうち1種類以上の生産性が向上する見込みがあれば利用できます。
一方、B類型は補助額が高額ですが、7種類のうち4種類以上の改善が必要です。
また賃上げ目標について、B類型は審査時において必須となっていますが、A類型は必須ではなく審査時の加点要素となっています。
2023年版では、A類型において補助額の下限を5万円とし、2022年版より下限が大幅にさげられていることから安価なITツールを導入しやすいようになり、クラウド利用料は最大2年と倍になっていることから、助成金が手厚くなったと言えます。
A類型 | B類型 | |
補助金申請額 | 5万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象 | ソフトウェア費・最大2年分のクラウド利用料・導入関連費 |
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバーインシデントにより事業継続困難となる事態を回避し、サイバー攻撃被害による生産性阻害のリスクを低減するための支援を行うものです。
具体的には、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されるサービスのうち、IT導入支援業者の提供によるサービスを導入する際に、そのサービス料の最大2年分を補助します。
参考:【サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト】
補助金申請額 | 5万円~100万円 |
補助率 | 1/2以内 |
補助対象 | サービス利用料(最大2年分) |
参考:「IT導入補助金2023 公募要領 セキュリティ対策推進枠|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局」
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠は、インボイス制度も見据えた企業間取引のデジタル化を図るために設けられた導入枠です。
通常枠やセキュリティ対策推進枠よりも高い補助率となっていることが特徴です。
ソフトウェアやセキュリティソフトの補助のためには、会計、受発注、決済、ECのいずれかの機能が備わったITツールの導入でなければデジタル化基盤導入類型の申請はできません。
また、デジタル化基盤導入枠は、50万円以下の補助額と50万円超から350万円までの補助額に補助率が区分されています。
50万円超から350万円までの補助額は補助率がより高くなっていますが、機能要件が追加され、デジタル化基盤導入類型の要件となる会計、受発注、決済、EC機能のうち、2機能以上の要件を満たさなければなりません。
通常枠では補助されないハードウェア購入費も補助対象になります。
ITツール | パソコンなど | レジ・券売機など | ||
補助額 | 下限なし ~350万円以下 |
10万円以下 | 20万円以下 | |
下限なし ~50万円以下 |
50万円超 ~350万円以下 |
|||
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 | 1/2以内 | |
要件 | 1機能以上 | 2機能以上 | ITツールの使用に資するもの | |
賃上げ目標 | 加点 | |||
補助対象 | ソフトウェア費・最大2年のクラウド利用料・導入関連費・ハードウェア購入費 |
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
商流一括インボイス対応類型は、取引関係における発注者が、インボイス制度対応の ITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係 における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して無償でアカウントを供与して利用させる場合に、 その導入費用の一部を支援するものです。
ITツールの導入費用として、クラウド利用料最大2年分 (上限350万円以下)を補助します。
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
複数社連携IT導入類型は、複数の中小・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入することにより、地域DXの実現や、生産性の向上を図る取組に対して、複数社へのITツールの導入等を支援するものです。
ほかの類型と異なり単独での申請はできず、10以上の事業者で構成された事業グループが受けられる補助金になります。
これまでのIT導入補助金との違いについて
IT導入補助金は平成28年から開始されており、これまでも色々なITツールについて活用することができました。
ただし支援内容は毎年変わっており、それぞれの年の国の課題を反映した支援内容となっています。
ここではこれまでのIT導入補助金との違いを3つ確認しましょう。
適用要件を厳しくした一方で補助率のアップ
2023年版のIT導入補助金は、通常枠(A類型、B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型、商流一括インボイス対応類型、複数社連携IT導入類型)の全6種類に分かれており、それぞれ要件が異なると共に補助対象や補助額などが異なります。
通常枠は1/2の補助率であるのに対し、より要件の厳しい枠については3/4、2/3という補助率が適用することになっており、企業の状況に応じて使用する枠を選べるものとなっています。
クラウド利用料が2年分補助対象
従来のIT導入補助金ではクラウドの利用料については1年分を補助対象とするとされていたのですが、これが今回から最大2年に延長されました。
クラウドのシステムはサブスクリプション型で毎月の利用料という形での契約が多いのでこちらもクラウドを活用してDXを推進していく企業にとってはメリットのある改定内容になっています。
ハードウェアも補助対象に
通常PCやタブレットなどの汎用性が高いハードウェアは補助金対象外になるというのが従来の常識でした。
しかし近年のIT導入補助金ではPCやタブレットの購入も補助の対象となっています。
これはインボイス制度への対応等を考えるとアナログな体制の零細企業にもハードウェアを導入してDX化していく必要があると政府が考えているためでしょう。
IT導入補助金を受けるまでの流れ
IT導入補助金を使うには次のような流れになります。
- ① IT導入支援者の選定
- ② 使用するITツールの選択
- ③ 「gBizIDプライム」アカウントの取得
- ④ 「SECURITY ACTION」の実施
- ⑤ 中小企業庁のデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ経営チェック」
- ⑥ 交付申請
- ⑦ ITツールの発注・契約・支払い
- ⑧ 事業実績報告
- ⑨ 補助金の交付手続き
- ⑩ 事業実施効果報告
クラウド会計を導入してIT導入補助金を受ける際の注意点
対象のIT導入支援事業者、ITツールを事前に調べる
IT導入補助金が他の補助金と大きく違うのは、先に補助金を使えるIT導入支援事業者とITツールが決まっているという点です。
ITツールを自社で購入して自社で申請をすれば補助金を受けられると思いがちですが、それは間違いです。
IT導入補助金を活用するには活用できる支援先事業者とツールをあらかじめ選定することが重要になります。
補助金ありきではなく、効率化をゴールにする
DXとは直訳するとデジタル転換ですが単なるデジタルツールの導入ではなく業務や組織・サービス内容までを変革して競争優位性を確保することが目的とされています。
この目的を達成するためにデジタルやデータを活用しようというのがDXの本来のあるべき姿です。
DXがうまく行っている会社は理想の全体像をまずイメージして必要なツールを選択していきます。
逆に失敗するのは補助金が使えるからと言って複雑なシステムやフルパッケージを導入してしまったようなパターンが多いです。
活用するということを念頭に極力シンプルで自社のITリテラシーにあったものを導入していきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事を参考にして、上手に補助金を使いながら会社の効率化を図るきっかけとなれば幸いです。